2005年10月(前半)
一介の馬券生活者・木下健「調教師」になった!なんちゃって!?レースコンサルタント・木下健 誕生か?
馬のタイプを見抜ければ、「持ち時計の遅い馬」でも十分買えまっせ~。(^^)
PART Ⅰ 「馬のタイプ分け」研究報告
前号までのおさらい~(^^)
さて、今回は袋とじということで盛りだくさん!。担当さんによると、トビラのタイトルは「木下健、調教師になる!」みたいな内容になるらしいですが、別にホントに調教師になったわけではないのはいうまでもありませんね・・・・(^^;アセアセ
まあこうつけるにはそれなりのワケがあるわけですが、それを説明するには、まず前号の続きから話せなあきまへんねん・・・。長~くなりますが、何とか最後までお付き合いくださいな(^^)。
まずは、今回初めて読む方もいると思うので、前号のおさらいから。
前号で「時計の”遅い馬”を狙って数年ぶりのMillion Get!!」って話の前半の部分だけ紹介したんですが、内容を要約すると、
通常は速いほうがいいと思われている「持ち時計」という考え方を疑って「持ち時計の遅い馬」に着目して、久々に100万円超の払い戻しを受けたというもの。
具体的には以下のような流れ。
①6月19日函館9R(1着エムオーウイナー/表①)と12R(1着パレスエベレスト/表②)は、どちらも芝1200で、前後半のラップがそっくり。
②7月2日函館11R函館日刊スポ杯(1000万下/表③)にパレスエベレストが出てきて楽勝。その直後の函館12R江差特別(500万/表④)にエムオーウイナーが出走。“そっくりのラップだった”パレスが1000万条件で勝ったのに、それより下の条件に出走したエムオーが2番人気。この時は、普段はめったに買わない単勝に、普段はめったに賭けない金額の3万円をブチ込んで、もちろん1着。単勝310円で9万3000円の払い戻し、純利益6万3000円。
③気をよくして、6月19日函館9Rをよく調べてみると、走破時計1.09.2は過去10年間で最速。さらに調べると、このレースの次走でさっそく馬券に絡んだ4頭は、「いずれの馬も前半34秒台、走破時計1分9秒台で走った」という共通点あり。簡単にいえば「レベルの高いレース」ということ。
④この6月19日函館9Rの「前半34秒台、走破時計1分9秒台」組で、原稿を書いている時点で未出走なのは2着馬テイエムジャンヌ。当然、出てくるのが待ち遠しい状況に。ローテを予測すると、読み通り「下北半島特別」に出てきて、カモネギ状態!
⑤だがこの当日、私の考えは徐々に徐々に違う方へ変化して・・・・・・。
こんな感じですが、思い出してもらえましたでしょうか?
ということで今回は⑤の「考えが変化した理由」からです。そのきっかけが《持ち時計が遅い馬》やったわけでが・・・・・・。まずここでは、函館各週のTB(トラックバイアス=馬場状態のこと)に注目してもらいまひょ。
「カモネギや!」 と思ってたら・・・・(~~;;;
まず、表①②のパレスエベレストとエムオーウイナーが勝った6月19日のレースは、1回2日目で開幕週でしたね。この日の1200m戦は、このふたつの他に新馬戦があって、そこでも1.09.9という凄い時計。まぁこれは勝ち馬が強かったせいで、普通やったら1分10秒台の決着とみて間違いないですわ。
そしてこの日のTBですが、“過去10年で最高”と述べたエムオーウイナーのレースでも多数の逃げ・先行馬の粘っていたという事実や、新馬戦とは思えないで1.09.9秒なんて凄い時計が出現したことから、開幕週の万全の馬場コンディションが影響しているのは確実で、まずは「前残りのTB」と判断しました。
次は表③④、7月2日のTB。この日は開幕3週目(5日目)です。前述の通り勝ち馬は同じ2頭ですが、走破時計は揃って約1秒ほど遅くなってますね。これは開催も5日目になったことで、確実に馬場が傷んできてることが見てとれます。とはいえ、やはり活躍しているのは逃げ・先行馬で、その他の1200のレースのタイムと考えあわせた上で、「馬場は傷んできてはいるがものの、引き続き前残りのTB」と認識しました。
そうして翌週の7月9日、待望の下北半島特別の日がやってまいりました(^^)。これは最終レースだったので、出走馬をいろいろ調べる時間がありました。なのでちょっと気になっていた、パレスエベレストが勝った6月19日基坂特別の出走馬のその後の結果を調べてみたところ、4着のケイエススターが勝ちあがってたり、8着のメジロモーガンが3着になってたりという結果が出てました。これらの馬は、“過去10年で最高”のエムオーのレースと比べて光る部分は少ないと思いましたが、標準的なラップやったという点を踏まえるととりあえず「35秒台で行って1分9秒台でまとめた馬」は注意しといて損はないと思えました。とくにに3着のクラキングレディなんかは、34.7秒で2番手追走、終いも35.2秒でまとめて1.09.9秒。パレスの時計と比較しても、500万ならなんとかなる内容と思いました(^^)。
そしてこの馬も、牝馬なので、テイエムと同じ下北半島特別に出てきてます。となると「テイエムジャンヌとクラキングレディの2頭で、ほぼ馬券になるんちゃうか( ̄∇+ ̄)キラーン」って気になってきたのはいうまでもありませんね(^^)。まあこんな事を午前中に調べたりしいる中、淡々とレースは消化されていきました 。
もちろんその間も、いつものように複コロはやってます。福島2R →函館7Rといつものようにコロガシしましたが、3コロ目の阪神8Rでドボン・・・(;
原点に戻して再開した函館10R→2コロ目の函館11R でまたまたドボン(;;;。まぁ、最終できっちり儲けたるさかいええワイええワイ(-_-#)ピクピク って感じでちょっと余裕ブッこいてる部分はありましたね~(^^)。
コレまで思いもしないことに気づきました。
ここでTBの話に戻りましょか。皆さんも経験あると思いますけど、TBちゅーやつは毎週毎週変わってきまよね。そもそも、「今日は完全に前残り!」とかハッキリと判断がつく日はまれですし、極端な場合は一日の間にもどんどん変化したりもしてます。なのでこの日もいつものように、TBを探りながら・・・、競馬をしながら・・・、な一日でした。そしてそんな中で、先週(7月2日、3日の週)までとは明らかな違いがあることに気づきましてん!
この日最初の芝レースは4Rでしたが、ここでは10番手からマクッタ馬が勝ちました。2600m戦ってこともあったんでとくに気にはしませんでしたが・・・・・・。続く5Rは1000m戦では、この距離では逃げた馬が断然に有利なのは常識ですが、6番手から差し込んできた馬が1着。 さらに6Rは下北半島特別と同じ1200m戦ですが、ここでは8番手から差してきた馬が1着。2着には好位の4番手からの馬が入り、3着にも8番手付近から差してきた馬が来ました。
この6Rの走破時計は1.11.5で、とりわけ注目に値するもんでもありません。まあラップタイムは、前半34.2と未勝利ではかなり速い部類ですが、先週行われた未勝利戦2鞍のタイムは「34.3~1.11.6」と「34.5~1.11.0」と、こちらも大きな変化は感じられません。逃げ・先行馬達が弱かったってことも考えられますけど、ハナを切った馬は速いラップを刻めるタイプの馬ですし、私の「にこちゃん指数」を見ても能力上位、2番人気だったし、先週までの感じからいくと逃げ粘ってもおかしくないはずの馬で、正直負けすぎな感じはありましたが・・・・・・。このへんでミョーなニオイ?を少し感じましたわ・・・・・・。
そしてその後のレースでも、先週までは見られんかった10番手以上の後方待機馬が絡んできたりして、明らかにこれまでのTBとは違う様相がニオってきました・・・・・・。
とりあえずここまでの事実を冷静に分析してみると、先週までのTBと違うのは明らかでしたが、馬場のどこが伸びるかとか、どこをを通るほうが有利かとかはまったく不明。しかし、「逃げた馬が残れる馬場じゃない」ということだけは、ハッキリとわかりました。
あわせて、6月19日のエムオーウイナーが勝ったレースとパレスエベレストが勝ったレースふたつのレースを調べていると、これまで思いもつかんかったことに気づきました。そしてその瞬間、「もしかしてこれが“持ち時計”?」という疑問が湧いてきました。
スピード上位馬が“必敗する”TBがある
前述の通り、パレス、エムオーの2頭は6月19日、7月2日と連勝しましたが、7月2日はどちらも馬場の悪化とともにに約1秒ほど走破タイムを悪くしましたよね。これが気になったもんで、両レース出走馬が次走同じように時計がかかったのかを調べてみたところ、表⑤のようなデータになりました。
この表を見ると、連闘で翌週の6月25、26日に使った馬はほぼ同じ時計で走れていますが、中一週つまり7月2日に使った馬は、パレスエベレストやエムオーウイナー同様、約1秒近く時計がかかっていることがわかります。ここから何が読み取れるかというと、あくまで全馬同じ調子を維持していたという仮定の上ですが、「馬場状態の違いによって、出せる時計の限界というのがある」ってことですね、当然ですが。さらにいえば、開幕週のようなTBでパレスやエムオーのような速い持ち時計の馬が出走してくると、ピサノキャニオンやラヴォラトーレ、ケイエススターのような「持ち時計の遅い馬」では通用しない、ともいえると思います。これまた当然ですが。
で、ここでちょっと問題をひねってみます。つまり「このような“持ち時計の遅い馬が通用するのはどういった場合か?」と。答えは2通り。
ア.「開幕週のようなTBでも持ち時計の速い馬が出走していない場合」
イ.「速い持ち時計が、逆にアダになるTBの場合」
ア.は要するに「自分より速い馬がいない場合」ですから、通用するのは当たり前。事実、開幕週の翌週=開幕週のTBとほぼ同じTBでは、ピサノやケイエスはさっそく馬券になってます。同じTBで、自分より「持ち時計が速い馬」がいなくなったら、当然の結果ですね。
問題はイ.です。「速い持ち時計が、逆にアダになるTB」なんてホントにあるのか? といわれれば、「あります」と答えるしかありません。前述の函館7月9日のTBがまさにそれ。この日は、上位入線馬の通過順位は先週までとは明らかに違っていて、速いラップを刻めるタイプの能力上位馬なんかが潰れて、好位追走馬や後方待機馬なんかが上位にきてましたよね・・・・・・。このクラスでの「持ち時計の速い馬」というのは、前半から果敢に行ってそのまま粘り込む、パレスやエムオーのようなタイプがほとんどなわけです。こういう馬が、この日のような「時計のかかる、しかも後方馬向きのTB」で同じようにスピードを活かそうとしたらどうなるか・・・・・・?
ここからが最も重要な部分。上手く伝わるかどうかわかりませんが、私は常々、「馬にはそれぞれ、得意不得意な流れやラップがあるもんで、競馬では何も“持ち時計の速い馬”がいつも圧倒的有利とは限らない」と思っています。例えば逃げ馬などは、一般的には「ユッタリ逃げれば終いにおつりが残る」みたいなことが安易に信じられていますが、実際には決してそんなことはなくて、ペースが速かろうが遅かろうが“その馬に合ったペース”でながれれば好走するし、逆にユッタリ逃げてたんじゃ調子が狂ってズタボロになる、みたいな。数年前、私の指数の会員さんであるタツローという方の「ラップ理論」を編集部に紹介して特集を組んでもらったことがありましたが、これを紹介したのは、私が常々感じていた「馬のタイプの複雑さ」を、ある部分でとても上手く理論化していると感じられたからです。要は「持ち時計が抜けているから勝てる」とか「ゆっくり逃げられたら勝てる」という単純な理由で勝敗が決まるほど、競馬は簡単じゃないと考えています。
話は戻って、では今回の「持ち時計の速い馬」「遅い馬」をどん感じでイメージしたか? 今回は芝1200で「時計のかかる、後方馬向きのTB」という限定された状況での“仮説”ですが、
仮説
●持ち時計の速い馬(パレス、エムオーのタイプ)
「開幕週のTBの時と同じように、素早いスピードでぶっ飛ばしてるつもりではいても、いつものようなスピードが出ているはずもなく、パワーだけはいつもと同じように浪費する」
●持ち時計の遅い馬
「このタイプは、TBに関係なくいつも自分なりのペースで走って自分なりの終いで上がってくるため、走破時計自自体には大きな変動がないのでは? そのため、前が勝手に潰れてくれる展開は大歓迎?」
誤解を承知で、さらに強引に2分してみると、
●「持ち時計の速い馬」=「スピードあるがパワー乏しい」=開幕週のようなTB限定
●「持ち時計の遅い馬」=「スピード乏しいがパワーはある」=TB関係なく常に持ち時計分は走る
「持ち時計の速い馬」は、スタートからエンジンの回転が一気に上がって、TBが向いていればそのまま押し切るけど、もともとエンジンにパワーがないため、TBが不向きならエンジンばっかり高回転で回って力を浪費する。「持ち時計の遅い馬」は、そんなにエンジンがそれほど回らなくて、スタートからゆっくりギアが上がっていくけど、その分いつも「伸びシロ」があるので、TBに関係なく自分の時計分はきっちり走りきる、みたいな。
なんか言葉にするのは難しいですが、大体こんなイメージでして、この仮説にたどり着いた時は、私自身が驚きました。正直ここまで具体的なイメージは、今までの私の中には存在してませんでした。
長くなりましたが、これを「下北半島特別」の予想に落としこむと、33.9秒なんてハイラップを刻んで1.09.2なんて速い時計で走れるテイエムジェンヌは、ここではまさに「持ち時計の速い馬」。この日のTBは致命的だという結論になります。もう一頭目をつけたクラキングレディも同様。この日ままで密かにテイエムを待っていた私にとって、この変更はけっこうキツイものでした。でも冷静に考えた上で先のような仮説に到ったからには、無視はできません。そもそも、先週じゃなくて今週にパレスやエムオーが出走してきてたら、勝ちはなかったのかもしれないようなTBなのですか・・・・・・(~~;。
神様が勝手に押してくれましてん
というわけで、予想の方向性を大幅変更。当初テイエムの頭軸で買うつもりやった3連単でしたが、1、2、3着付けに幅を持たすことに。展開が合わんと完全に切ってしまわんかったのは、2週前から狙い続けてきた私の女々しさの現れです(^^;アセアセ。さらに2~3着付けで買うつもりやった降級馬のビーナスラインを1~2着固定に変更。同じ2~3着付けで買うつもりやったクラキングを3着固定に降格。逆に3着固定でしか買う気がなかった「持ち時計の遅い馬」ニューエスサンデーを、6月19日の内容から「時計が速いTBよりもかかるTBの方が合うタイプ」とみて2~3着固定に昇格。そこへもう一頭、パレスエースの勝った基坂特別で2番手を追走していた3歳馬で、函館芝1200の持ち時計が1.10.2と「遅い」ブラジリアンサンバを、ちょっとしたスケベ心で追加。
レースは「仮説」通り、テイエムは3~4角で非常に怪しい手応えになって来ました! 結果的に前半3F34.6秒で通過したんで、前走と比べたらまったく苦しくもないはずです。それでなんで手応えが鈍ってしまうかというと、やはり“自分に合ったペースやない”からですね。そして予想通り、中段追走のビーナスラインが先頭に抜け出した所へ、そのもうひとつ後ろから、これまた予想通りにニューエスサンデーが(^^)。ついでに、スケベ心のブラジリアンサンバが最後方から追い込んできて3着に!
3連単は3万9250円。300円づつ購入したので払い戻しは12万円前後。「まあこれで今日もキッチリプラスで終了」と思ってPATで払い戻しをみたら、「1,177,500」・・・・・・あれ、一ケタ多い? 120万? ホンマかいな? どうやら300円づつ購入したつもりが、勢いあまって0を一個多く打ち込んで投票してしまったようですε= (++ ) ウヒャーーー。こんなイタいオチでやっとこさ前回からの「数年振りのMillion Get!!」となったわけですが、ま、日頃から一生懸命考えて予想してるのを見かねた神様が、後ろから0ボタンを押してくれたんやと思ってありがたく戴いておきました~(^^;アハハハ 。
Million Get!!の話はともかく、今回はこういう「持ち時計の遅い馬」の狙い方というか、「持ち時計の早い馬」の切りどころを、私なりに一歩踏み込んでつかめたんで大収穫でした。ちょっと説明が上手くないですが、これからもっと研究して、皆さんにご報告できたらと思っています。