最強の法則1999年6月号

最終回「レベルの高いレース」を狙え!

威力絶大!「レベルの高いレース」出身馬、黙って買えば大儲け!!

本年度収支150万(4/15時点)。食費、家賃、光熱費、車の維持費ももちろん全て競馬でまかなっている!

[近況] 今年に入ってからは「とにかく確実に儲ける」ことを目標にして、地味ながらも150万のプラス収支を計上。4月10日阪神で万馬券が1日に5本も出たのは記憶に新しいが、木下はこのうち4本をゲット。ただし「購入資金を押さえて確実に儲けるために、デカいのがきても回収率は同じになるように設定しているんで、特に大儲けしているわけではありません」とも。万馬券という名誉より、負けないこと、毎週一定のプラスを計上することが、馬券による生活を支えているようだ。

◎本誌馬券特捜班

「レベルの高いレース」大反響

  ついに、この連載も最終回。半年間の連載だったが、その間、いろいろなことがあった。ホームページアドレスを掲載したところ、木下のもとにメールが殺到し、木下はしばらく毎晩徹夜して返事を書いたという。特捜班が電話でしても憔悴しきった様子で、本業である馬券に支障が出るんじゃないかと心配したほどだった。ホームページ上の掲示板も大盛況。今も数多くの書き込みが行われ、木下はいちいちそれに返事を書いている。編集部には「パソコンを買いたいんだけど何を買えばいいのか」という問合せまで来る始末(注 普通のウインドウズマシンを買えば大丈夫です)である。もちろん、木下の馬券は好調で、このコーナーに掲載した「レベルの高いレース」も絶好調だ。バンバン大穴が飛び出して、イヤになったこともあった(原稿書いているんだから、ちゃんとそのまま買えばいいのに)。いずれにせよ、1つのムーブメントは作れたのではないかと思う。これをひとつの機会として「レースの見方」(アナログ編)や、「タイムの比較方法」(デジタル編)を考えるようになった方がいらっしゃたら、なんだかとても嬉しいなと思うのである。

 さて、今月号では、本来ならばデジタル編について引き続き触れるべきところだが、実はデジタル編より「レベルの高いレース」の反響があまりに大きいので、「レベルの高いレース」についてまとめて、最終回としたい。途中で予定外にデジタル編を中断するような形になってしまうが、大まかなところはほぼ説明してあるのは、連載を続けて読んでいる方ならおわかりいただけるだろう。それ以上の細かい部分を知りたい方は、お手数だが、木下にメールを出すなり編集部に手紙を出す(木下へ回送)なりしていただければ幸いである。

インターネットがない人の「レベルの高いレース」の活用法

「レベルの高いレース」は見てのとおり、これだけで買い目が出たりするようなものではなく、あくまで「評価の割には力がある馬」「負けたけど次は激走しそうな馬」の宝庫。だから実際の馬券への活かしかたもいろいろ考えられる。その例として、1つのケースを挙げてみよう。例は3月20日10R「ブラッドストーンS」(1600万・ダ1200)。

3月20日10R「ブラッドストーンS」

 まず馬柱を見て、本誌掲載「レベルの高いレース」を探す。例の場合だと、「榛原S」出身馬(負けた馬)が①⑩⑪の3頭いる。この中から軸を選ぶ。選ぶ基準は、それぞれ独自の方法でいい。この場合選んだのは⑩。理由は①は気性難で外枠希望とコメントで言っているし、実際これまで上位に来る時は、そのほとんどが外からの追い込み。この距離で最内枠は圧倒的に不利だ。⑪は調教がイマイチだし騎手がB級。軸に選んだ⑩は鞍上・的場、中山ダ1200は外枠有利、前走は芝でも好走しているのに人気がないので、まずこれの単複を購入。馬連は、⑩から前走驚異的なHペースをしぶとく粘った⑧、昇級緒戦で不利を受けながらも惨敗しなかった④の2本立て本線に、あとは気になるところをちらほら。結果は馬連⑨-⑩3050円、⑩の単勝12倍は逃したものの複勝330円、しめて10万8000円の払い戻し。

 馬柱で「レベルの高いレース」を探し、その中から軸を選び、あとは普段の自分の買い方でアレンジする。大雑把だが、利用の仕方次第では大きな成果が挙げられる。他にもこのような利用法で成果を挙げた報告は多数入っているので、ぜひとも試していただきたい。

インターネットで「木下式出馬表」を入手できる方の出馬表活用マニュアル

① 単純にA、Bを購入対象にする。

② C馬とX馬(Xである時の指数)を比べ、C馬の指数が-5ポイント以内であれば、X馬を購入対象にする。

③ 同じようにY、ZもC馬と比べ、もしもZ馬が-5以上なら、その時はC馬購入対象にする。

④ ここまで、だいたい4頭ほどになっているはず。4頭の場合はそのままボックス6点で購入する。

⑤ 5頭以上になった場合は見送るか、購入対象馬の内の1頭の単勝が1倍台の場合、その馬から対象馬に流し買いする。

⑥ 4または5の買い目の期待値がいくらになるかを考える。均等投資購入では、取ってマイナスと言う買い目も存在するから、できるだけ、何が来ても同じ利益を得られるように資金を配分する。あまりにも回収率の期待値が低い場合は見送り。

連載後の万馬券出現本数12本、連対馬のべ105頭!

レベルの高さはタイムじゃない

 「最近、このレースはレベルが高いんじゃないですか?という質問が多くて・・・」と木下がボヤいている。「で、どうもみなさん誤解されているみたいですよ。『レベルが高い』という言い方をしたためでしょうけど、タイム的に優れているレースが『レベルが高い』んやないかと思っている方が多い。でも、それは違うんですわ」すでにお断りしているはずだが、ここに掲載している「レベルの高いレース」は、「木下式スピード指数が高いレース」という意味ではない。どちらかといえば「厳しいレース」という意味である。「道中の各馬の位置取りとか、先行争いの激しさとか、各馬の感じるストレスとか、いろいろな観点からレースを見て、これはキツいレースやな、と思ったときに『レベルが高い』と表現しとるんですわ。つまり、デジタルやなくて、アナログなんです」

 木下式スピード指数が高く出たレースというのは、また別である(これはP25の木下のホームページで入手してしただきたい)。それとは違って、道中、さまざまな点で出身馬がストレスを感じたり、厳しさを味わったレース。それが、ここに掲載する「レベルの高いレース」なのである。ではなぜ、レベルの高いレース出走馬は激走するのか。鳴門Sのニッシンソブリン(単勝1万1320円・馬連1万6510円)、白川郷Sのケイエスグッドワン(2着で馬連9620円)、4月10日阪神6Rのテイエムラシアン(単勝3200円・馬連1万8090円)。いずれも、突然着順を上げ、大穴を出してしまった。

 「厳しいレースを経験した馬は、その後その経験を生かすことができるっていうことやと思います。突然、普通のペースの平凡なレースになると、あまりにも楽なもんやから、走ってしまう。だから、馬にとっては当たり前のことなんですわ」別に驚くべきことでもなんでもない、と木下は言う。「激しいレースを走ったために、疲れが出て反動が来ることもあるみたいです。実際、『レベルの高いレース』を走ったあとに休養している馬は、結構多い。疲れが取れた頃に走るっていうこともありますから、しばらく追いかけてもいいんやないかと思いますね」

 レベルの高いレース使った馬で、その後も着順が上がらない馬、実は、こういう馬こそ大穴の可能性はある、といえそうだ。どうせ、そんなそんな馬は人気がない。小額だけ買っておくのもひとつの手段かもしれない。

表①

なお今月も、表①に先月のレベルの高いレース出身馬のその後、表②に今月のレベルの高いレースを上げておいた。参考にしていただきたい。

木下自身の馬券の買い方

 では、連載の最後に、これも非常に質問の多い「木下の馬券の買い方」について触れておこう。まず、木下は自分の指数をどう利用しているのか。「やはり、指数が活きるレースと活きにくいレースがあるので、指数の活きやすいレースを対象に考えます。まず、芝1000~1600は除外。芝の短距離では、指数で買えない馬が連対することが多いからです。スピード指数は本来芝には向きませんが、私の指数は長距離なら結果を残しています。ダートも、短距離よりは中距離のほうが私の指数は当て嵌まりやすいです」

 これは、一般にスピード指数の常識といわれるものの逆の位置にある。なぜこうなるかというと、木下が「アナログによる指数の補正」=走馬術に絶対の自信を持っているからだ。では、買い目はどう出すのか。「指数表から買い目を出すのですが、基本的にはなるべく素直に買うように心がけてます。軸馬を決めるときには、安定している馬よりも、自分が注目していたり追いかけている馬を取ることが多いですね。まあ、常にレースを見ていますから、このへんは簡単に判断できます」

 このあたりは、木下でなくては難しい買い目の出し方だと言えるだろう。しかし、そうなると、ちょっと一般に応用するのは難しくなる。そこで、木下の出馬表(インターネットで入手可能)を持っていればすぐに利用できる買い方を伝授してもらった。詳細はP26のコラムを。「これで、そこそこの利益はあげられるはずです」ということなので、木下の出馬表が入手できる人はぜひ応用していただきたい。

「探究心」こそが妻子を養う原動力

 以上、木下式の「馬券で妻子を養う方法」、いかがだっただろうか。木下を半年間取材して感じたのは、「馬券に役立つものなら何でも取り入れよう」という強い探究心と、「これはダメ」と思った方法はバッサリ切り捨てる「思いっきりのよさ」である。特に、彼自身が考えた末に行きついた「走馬術」はスゴイ。恐らく、レースの見方に関しては、日本でも有数の実力を持っているといえるだろう。

 また、「そのまま買えば的中する」これを念頭に置いたスピード指数の補正方法も優れている。ただ、「そのまま買う」ことを目的として苦労を重ねて算出した指数なのに、それよりも「走馬術」で見つけた馬を重視して馬券を買うところが、木下の面白いところだ。これだけタイムを研究していながら、また、馬券にも取り入れていながら、「競馬はタイムじゃないです」と、平気で言ってしまう。タイムを徹底的に研究し、熟知している木下の「タイムじゃない」という言葉に重みがある。いずれにせよ、日本でも5本の指に入る予想家ではないか。それが、特捜班の結論である。特集は今回で終了だが、今後も形を変えて連載の予定なので、乞うご期待!

◎木下健の重賞レース[走馬分析]   ダービー・オークス「私はこう狙う!」

前回・皐月賞は、名前を挙げた7頭中、出走した5頭(ナリタトップロード、アドマイヤベガ、タイクラッシャー、マイネルタンゴ、マイネルシアター)すべて7着以内に入った。1ヶ月前の時点での予想としては、なかなかのものではなかっただろうか。なお木下のHPの直前予想では、勝ったテイエムオペラオーを加え、7着だったタイクラッシャーを切っており、さらに精度は高まっている。ただし、オースミブライトは軽視して馬連的中までは行かなかったとのこと。非常に惜しい1着3着であったようだ。今回の予想は、皐月賞終了直後の4月19日に行ったものである。当然、直前予想とが知りたい方は、例によって木下のホームページをご覧いただきたい。

 【オークス】 まず、桜花賞の感想から。勝ったプリモディーネは、新馬戦で好スタートを控えて差してくるレースをしたときに「この自在脚質は大きな武器になる」と感じていました。今回は、パドックでも歩様に大物感があり、1頭抜けている印象でしたね。外目の馬場のいいところを差してきましたが、馬場に恵まれた点を差し引いても、現時点では1頭抜けています。2着のフサイチエアデールは、武豊騎手の好騎乗によるところが大きいでしょう。本来は内を進みたかったのでしょうが、外枠を引いた時点で「直線で大外を通って一発掛けてみる」覚悟を決めたのではないかと考えます。それが功を奏しましたが、武騎手は「オークスではプリモディーネにはかなわない」と思っているんじゃないでしょうか。3着のトゥザビクトリーは、1600という距離では、持ち味を発揮できませんでした。一瞬の瞬発力には少し欠ける馬ですから、もう少し長い距離で、一気に3~4馬身抜け出す戦法を取れば、という感じです。

 大敗したスティンガーは、パドックを見ても、明らかに馬ができていませんでしたね。出遅れてもプリモディーネやフサイチエアデールと同じ位置で競馬をしていましたから、出遅れ自体は致命的な不利ではない。それより、手応えが悪すぎました。4コーナーで岡部騎手が内を突いたのは、外を回したら間に合わないと鞍上に思わせたからでしょう。能力自体はある馬だと思いますが、あんな仕上げでは苦しい。トライアルを使うということですから、この馬の評価はそれを見てからにしたいと思います。

 さてオークスですが、「本当によくなるのは距離が伸びてから」と感じていたプリモディーネを本命に推します。相手には、オークスのほうがペースが合いそうなトゥザビクトリー。ただし、2400というのは少しだけ距離が長いように思います。最適になのは、京都1800mでしょう。京都1800mは、出し抜けを食わせて一気にリードを広げるには絶好の舞台です。3番手はフサイチエアデールです。期せずして桜花賞の上位馬のみになってしまいましたが、その他の新興勢力にはあまり魅力を感じません。桜花賞上位馬同士の決着で問題ないと考えます。少し気になるといえば、テンシノウタぐらいでしょうか。

 【ダービー】 まず、皐月賞の感想から。予想外のハイペースと、それに伴う馬群のごちゃつきが、勝負を分けた印象です。勝ったテイエムオペラオーは、後方にいて一切不利がなく、直線も馬場のいい外を回っています。もちろん能力は認めますが、実力以上に強く見せたのは事実でしょう。2着のオースミブライトも能力はありますが、ゴール寸前で一旦ナリタトップロードに並びかけられたのに、ギリギリ粘り込んだ。ああいうレースは中山独特のものであり、ダービー向きではないと感じます。3着のナリタトップロードは、明らかに中山の直線の急坂を気にしましたね。まるで坂路を上がるような、階段を駆け上がるようなフットワークで、坂を上がってからやっと普通の脚の使い方に戻った。この馬は完全に府中向きです。人気のアドマイヤベガの敗因は、状態がすべてでしょう。こんな馬ではありません。あと、馬体減りの原因の1つに、輸送に弱いこともあるんじゃないでしょうか?グリーンチャンネンで皐月賞前の馬運車の到着風景を映していましたが、この馬だけ絶えず何かに怯えていて、とても大一番を前にした馬とは思えませんでした。

 さて、ダービーの予想です。そのアドマイヤベガが本命候補。ダービーでは万全の仕上げだと信じています。相手候補のナンバー1は、ナリタトップロード。今度は坂を駆け上がってからの直線距離が伸びますから、皐月賞より末脚が活きてくると思います。今の時点で人気はわかりませんが、皐月賞の1、2番人気馬がダービーで人気がなくなって1、2着という結果は十分ありえますね。皐月賞では少々嵌まりすぎた感じもあるテイエムオペラオーも、逆転は十分可能だと思います。基本的には、3つ巴のダービーでいいでしょう。 皐月賞で本命に推したワンダーファングの発走除外は、本当に残念でした。もし走っていたら、展開はかなりかわっていたはずで、結果は違うものになっていたように思えてなりません。いずれにせよ、気性的に不安が出てきたワンダーファングは、距離延長から少し評価を下げ、穴候補にとどめます。皐月賞というビッグチャンスを戦わずして逃がしたのは、この馬にとって非常にアンラッキーだったと言えるでしょう。他の穴候補は、皐月賞組以外からですね。サリーレ、チョウカイリョウガ、ブラックタキシード。出て来れば、かなりの可能性を秘めていると思っているカラフルワールドまでを推薦します。

【安田記念】
まだメンバーがわからないのでなんともいえませんが、現時点ではキングヘイローが抜けていると思えます。
◎キングヘイロー
○シンコウスプレンダー
▲ケイワンバイキング
△キョウエイマーチ
×タヤスケーポイント
×ブロードアピール

【NHKマイルC】
ニュージーランドT前の予想になりますが、クリスタルCのレース内容は凡戦でした。短距離を使ってきた馬よりは、中距離も経験している馬のほうが有利でしょう。
◎エイシンキャメロン
○サヤカ
▲グラスグラード
△レッドチリペッパー
×バイオマスター
×マチカネキンノホシ
×ステファニーチャン
×タイキレンジャー
×サウスヴィグラス

【高松宮杯】
シルクロードSの結果次第ですが、現時点ではトキオパーフェクトが抜けています。順当な結果だと考えています。
◎トキオパーフェクト
○マイネルブラウ
▲サウンドワード
△アグネスワールド
×ワシントンカラー

最強の法則1999年6月記事より

木下のHP●現在、問合せ、出馬表申込殺到中!(写真は当時のもの)