最強の法則1999年5月号

第5回 デジタル理論編:Ⅱ

大反響!「レベルの高いレース」 いきなりの万券ラッシュ

 先月号で木下のホームページアドレスを紹介したところ、木下のもとに問い合わせが殺到。毎日100通単位でメールが来ているとのこと。ひとつひとつ答えたいと、木下は連日徹夜で返事を書いていると言うが、それは彼の馬券生活に支障をきたさないとも限らない。読者のみなさん、できるだけメールは控えめにしてあげてほしい。ここにお願いする次第である。 ところで、今年も彼の馬券は好調で、1月が40万円、2月は30万円、3月は3週終了時で30万超のプラスを叩き出している。 「最近はリスクを避けるために投入金額が少ないですから、まあ、なんとか生活できる程度ですわ」と木下は言うが、それだけコンスタントにプラスなら言うことはないだろう。「いいなあ、生活できるぐらい儲けてみたいよ」と編集担当Oもこぼしている。

 さて、今回は、デジタル編の2回目として、木下独自の出馬表を出して解説を行うが、その前に、例によって「レベルの高いレース」である。

 なんだかもう、手のつけられない状態になっていて、先月号で掲載したレースの出身馬が、いやになるほと突っ込んでくる。特捜班原稿担当の筆者が馬券を握り締めてレースを見ていると、なんだかわけのわからない穴馬が突っ込んでくる。「なんだよそれー、そんなのありか」と思い、よく新聞を見返して見ると「レベルの高いレース」に出てたということがしばしば。「しまった、見落としてた!」とボヤキ、うめいてしまう。そんなにいつも痛い目に遭っているものだから、ちゃんとチェックして馬券を買えばいいのだが。

 表①をごらんいただきたい。全部で55連対。馬連万馬券7本を含め、大穴配当数限りなし。このコーナーだけで独立させてもいいんじゃないかと、特捜班でも考え始めているほどである。今回も表②に挙げておいたので、ぜひチェックしてほしい。

今年ですにプラス100万。もちろん全部生活費!

ついに公開「木下式出馬」

 では、今月のテーマである「デジタル編」そのⅡに入りたい。まず、何はさておき、表③表④をごらんいただきたい。これは、木下が独自の計算式(デジタル)と走馬術(アナログ)をミックスさせて作った木下式出馬表(能力分析表)である。数字は木下独自の指数で、過去3走のものが入っているほか、「斤量補正」として、今回の負担重量で前走の指数を調整したものが入っている。斤量補正後の指数が最高の馬にはA、以下B、C、Dと順位がつく。3走前と前々走だけをみて最高の指数の馬にはX、以下Y、Zと順位がつく。

表③

 この順位に注目。まず表③のダイヤモンドSでは、2着したロングワールドがA、勝ったタマモイナズマがBである。つまり、木下の評価が1番手と2番手の馬(Bはもう1頭いるが)で決まって、馬連1万3420円の万馬券だった。

表④

 表④のマーチSでは、2着したビーマイナカヤマがAZ、勝ったタヤスケーポイントがB(Bはもう1頭いるが)。つまり、同じく木下の評価1位と2位で決まって、馬連1万830円と万馬券だったわけである。

 「ダイアモンドSは、スピード指数系の理論を使っている人なら、誰でも取れたレースでしょう。ロングワールドの斤量は明らかに軽過ぎで、最近ときどきあるハンデキャッパーのミスやと思います。ただ、僕の出馬表では、タマモイナズマが2番手評価になっている。これは、スロー調整など独自の理論で評価を上げたものやから、ちょっと自慢できると思いますわ。マーチSのほうは、レベルの高いレース出身馬で、前走も強かったタヤスケーポイントを高く評価したことが的中につながったと思います。こっちは自信があったんで、馬連も3000円取らせてもらいました」 

 木下は、こう述懐する。彼の指数は、すでに再三触れてきたように、1頭1頭吟味して出されたものである。機械的な計算(デジタル)だけで出されたものではない。したがって、その「走馬術」(アナログ)の部分によって、普通のスピード指数系理論では買えない馬を浮かび上がらせることになる(詳細はバックナンバーを参照してください)。

 もちろん、この2つは敢えて万馬券となったレースを挙げているわけで、いつも穴狙いというわけではないし、万馬券が必ず的中するわけでもない。しかし、今年に入ってから重賞万馬券はまだ4回しなかい(3月14日現在)。そのうち2回が、こうして木下の高評価の馬同士で決まっているわけだ。この事実は、厳然と存在する。

あなたも木下の直前予想が見れる!

 参考までに、木下のある1日のレースを表⑤として掲載したので見てほしい。A、B、C、DプラスX、Y、Zの組合せで決まったレースは緑で表示されている。低配当から高配当まで、満遍なく当たっているのがおわかりいただけるのではないか。

表⑤

 これはあくまで平均的な1日の結果である。真っ赤になる日もあるし、赤が半数以下になる日もある。そこで、ここ1ヶ月で統計をとってみたところ、全227レース中、赤(A、B、C、Dのボックズで的中)が95レースで41.9%、緑(A、B、C、DプラスX、Y、Z)が40レースで17.6%、順位のついていない馬が1頭でも絡んだレースが92レースで40.5%であった。この数字をどう見るかは、読者のみなさんにお任せしたい。ただ、「指数の高い馬を買えば機械的に儲かる」ことを目標に頑張っているだけであって、特捜班はこの数字は高く評価したいと思う。なぜなら、4頭ボックスで4割以上の的中率があれば、競馬は確実に儲かると考えるからだ。低配当もあれば高配当もあるが、そのあたりは資金配分で切り抜ければいい。

 また、1日のレースを全部買う必要はない。指数の接近したレースは無印馬がくる可能性も高いからケンすればいいわけだし、前述の「レベルの高いレース」出身馬を絡めれば、無印馬が来ても取れる可能性がある。もちろん、木下も、すべてのレースを買っているいるわけではない。木下が作成している出馬表には「推奨軸馬」や「狙って面白い馬」の印がついている。これは、「レベルの高いレース」出身馬など、彼自身がチェックしている馬がいるレースは、積極的に勝負に行き、成果を収めているわけである。「どれを買って、どれを買わないかはごっつう難しいですわ。僕自身は、最近は投資額を抑えてますから、自信のあるレースの単勝や複勝を買うケースが多い。馬連は、面白い馬がおったときに小額で買う程度です。そやから、僕の出馬表を見た人から『おかげで馬連万馬券取らせてもらいました』とかメールがくると、なんで買わんやったんか、と後悔したりします(笑)」木下ほどの馬券名人でもそんなことがあるというのは、なんだかホッとするエピソードである。ちなみにこの出馬表は、インターネットをやっている人なら誰でも手に入る(一応有料)。申し込めば、レース前日に配信される。

 さて、好評だったこの連載も、いよいよ来月で一応終了する予定である。デジタルのタイム理論と、中央競馬の全レースをチェックして出した、木下流指数。これを引っさげて、妻と子を養う木下健の挑戦は、今後も続いていく。来月号では、彼の馬券術の総まとめを行い、さらにダービー、安田記念、宝塚記念などG1シーズンの最終展望をしていく予定。是非、お見逃しなく。

 今月号では、G1レース直前ということもあり、趣向を変えて、皐月賞と天皇賞(春)の予想というスタイルで木下に語らってもらうことにした。

 その前に、この原稿の締切直前、エモシオンの屈腱炎のニュースが伝えられた。先月号で「これだけのレースをしてしまうと、エモシオンは故障が怖い」と木下が語っていたとおりのアクシデント。もちろん直接の原因はわからないが、レースでの消耗度の大きさが少なからず原因になったことは想像できる。大変残念な方向での的中となってしまった。

 なお木下は、昨年の毎日王冠後にも、「ほとんど競走馬の限界を超えた走り。トライアルでこれだけ走ってしまうと、サイレントスズカは故障が怖い」と語っていたことを付け加えておく。

【皐月賞】

 こちらは、スプリングS終了時点での予想となります。3歳時のクラシック候補と、それらを次々に撃破している、4歳になってから頭角を現し出した馬たちとの力関係が問題ですね。

 やはり、現時点での皐月賞候補はアドマイヤベガ、ナリタトップロードの2頭で、そこから少し遅れて、5頭が追いかけると言った感じでしょうか。

 といっても、能力的には、頭一つ分アドマイヤベガが抜けているように思います。ただ、弥生賞での後方からの競馬は、まるで皐月賞をダービーへのステップと考えてレースをしているようで、少し気になります。そのあたりを踏まえて考えると、レース振りが皐月賞タイプであるナリタトップロードが、上に来る可能性もあるでしょう。いずれにせよ、皐月賞は基本的に2強の争いと考えていいのではないでしょうか。

 残り5頭ですが、まずスプリントSの12着馬。不良馬場ということもあり、実際の実力よりも大きく着差は開いてしまいました。しかし、上位2頭のレース内容は、かなり評価してよいものだと感じます。特に、ワンダーファングの脚質は、こぶし賞の時点から目を見張る物がありました。皐月賞当日の馬場状態を踏まえて考えると、逆転のNO1候補はこの馬ではないかと思います。

 タイクラッシャーも、ここまで来るのに時間が掛かりすぎたと思うほど、新馬の時で素質をうかがわせていた馬です。一瞬の瞬発力を2強と比べると、やや見劣る点があります。しかし、一瞬で交わされない限り、並ばれても最後まで渋太そうです。

 ただ、この2頭の場合、不良馬場でのレースでしたので、想像以上に疲れが残ると思います。当日までにどこまで回復できるかがポイントになってくるでしょう。

 もう3頭は、マイネルシアター、チョウカイリョウガ、マイネルタンゴの順。特にチョウカイリョウガは、口向きの悪さを見せた新馬戦の内容からは大きな気情の成長を見せています。皐月賞は回避の噂も出ていますが、出てきても実力は存分に発揮できると思います。ただ、やっぱり楽しみはダービーではないでしょうか。

 ほかではあと、回避といわれているサリーレも、出てきたら面白いでしょう。ニシノセイリュウは、若駒Sの出走馬がその後指数を下げていますし、疲れが出てトライアルを叩けなかった点を考えると、現時点では消しです。

【天皇賞】

 阪神大賞典が終わった時点での天皇賞の予想です。現時点での天皇賞は、スペシャルウィークでよいかと思います。阪神大賞典での本番を意識した鞍上の騎乗振りが、特に気に入りました。前を行く馬たちは、仮想セイウンスカイ。これに離されすぎないように、早め早めの競馬をしました。この鞍上の意思に、無理なく反応したスペシャルウィーク。その気性の成長には、著しいものがあると感じます。

 一方、河内騎乗のメジロブライトも早目の競馬に徹しましたが、終始追っつけ通しで、騎手と馬のコミュニケーションが少しずれているように見えました。その分、ゴール寸前では脚が上がってたと思います。

 まだ日経賞のレース前ですが、セイウンスカイは、恐らく勝って天皇賞へ行くものと思います。日経賞はコーナーをいくつも回る中山2500mですから大逃げにならないでしょうが、本番では10~15馬身ぐらい離して逃げると思います。下手に控えて持ち味が出る馬ではないですから。

 当日の展開を考えると、スタミナを消費せずに、逃げるセイウンスカイを捕らえられるのは、スペシャルウィークしかいません。ちょっと気が早い予想ですが、現時点では、スペシャルウィークからセイウンスカイ厚めで、押さえてもメジロブライトの2点でいいのではないかと考えています。

●木下の予想が見れるHP(1999年当時の画像)