最強の法則1999年7月号
改めて、自己紹介
紙面上に私の方法を掲載させて頂くようになって早半年が経ちました。掲載当初はこんな物でどの程度人の役に立つのかと迷いもありました。担当の方からは「なかなか好評のようですよ」と慰めも頂いておりました・・・。
それにレベルの高いレース出身馬も本当に走ってくれるのかと今でもむちゃくちゃ不安でした。まぁ時期的なことも手伝い単勝万馬券も飛び出しましたし、実際は自分が思い描いていた以上の結果を残せたので「ホッとした・・・」と言うのが本音ですわ。
それから以降も指名したレースの馬がホンマによう走ってくれましたわ。これも厩舎宛てに送るニンジンに混ぜたカフェインの量をいつもよりチョットだけ多目にしたのがよかったんちゃうかと思います(笑。ウソでっせ)。
そんなこんなで最初は3回程度の予定だった企画も皆さんのお陰で半年も特集を組んで頂きホンマ有り難いと思います。
おまけに特集終了後もこんな形で連載させて頂ける事になって感謝感謝ですわ。その代り今回からは自分で原稿を書かんなあかんようになりましたんでちょっと大変ですけどね。今までは特捜班の原稿担当の方がめちゃくちゃ上手いこと書いてくれはったんを、いざ自分で書くとなるとどこまでやれるんかと心配ですけど、できるだけ解かりやすく伝えて行けるように頑張りますわ。
雑誌を読まれてHPにアクセスして下さる方が随分と増えたお陰で皆さんが詳しく知りたい事も大体見当が付いてきました。それについては追々応えさせてもらおうと思うてます。
レベルの高いレースを自分で発掘するには
HPにアクセスされて取り敢えず一番多かったのがこの質問ですわ。同じ様に、インターネットを使えない環境の方でも一番知りたいのがこの部分やと思います。やはりレースが終わってすぐに発見できた方が馬券的妙味も高いに決まってますからね。でも極論を言わせてもらうと、レースを見れない人間にはちょっとしんどい事ですわ。このレースを見れると言うのはTVで見れるとかそんなんとはちゃいますよ。じゃぁどうすればレースを見る目を養えるかと言えば簡単な事では無いので、まずどこから見て行けばいいかという事からお話させてもらいます。
一般的にレースを見る時って直接馬券につながる4角からゴール前あたりまでは鼻クソでもほじくりながら見てると思いますけど、ほんまに大事なんはスタートから3コーナーですわ。わかりやすいんでコーナーが4回ある距離で説明しますけど、具体的にはスタートから1、2コーナー中間あたりまででそのレースの大まかな雰囲気を掴むようにします。慣れてくるとこの時点でレースを作る馬にとって厳しいレースなのか恵まれそうなレースなのかが掴めます。ここまではわりと簡単なんで明日からでも出来ますわ。ここから3コーナーに差し掛かったあたりまでの間にレース全体がどのような流れで移行しているか特に注意が必要です。ちゃんと見ていれば4コーナーを廻ってからどの位置でレースをした馬が伸びやすいか、ある程度は自然に見当が付くようになってきます。現実には力の差もありますからこの位置からでは伸びないと決め付ける事は出来ませんけどね。
慣れんうちはまず騎手をよく見る事から始めるのが手っ取り早いと思います。レース中の騎手の動きに注目すると同じコース、同じ距離でもレースの性質によって騎手の動きも全然違いますからね。余裕が出てきたら騎手と馬の反応を一体で見て行くようにします。そして隊列全体の流れと個々の馬の反応とを結びつけて考え、全体と個々の兼ね合いの中で位置取り的に大まかな有利不利が判断できるようになればええわけですわ。この時に自分が想像していた結果と全く違った結末を迎えるレースがあるんですけど、比較的そういうレースにレベルの高いレースが潜んでいる事が多いです。でも、中途半端な経験で判断するとなんでもかんでもレベルの高いレースになってしまいますから危険ですけどね。
ある程度レースの見方が解ってきたら展開的に一番厳しかった馬や位置が解るようになるんで、そんな馬が予想外に粘った時なんかに次走への激走注意馬としてレベルの高いレースとは違う角度でチェックしておけばいいんです。レベルの高いレースの判断は難しくても激走注意馬なら案外簡単に見つける事が出来ますからそれだけでもかなり儲けさせてくれるはずですよ。
2回東京最終日の最終R「八ヶ岳特別」でも「レベルの高いレース」出身馬が大暴れ。波乱を演出した2着スギノベネツィア(13番人気)は4月号に掲載したレベルの高いレース「初春賞」(勝馬ミヨウノショウリ)の出身馬だった1番人気オーサカヅキとの組み合わせで馬連12260円。このレースに出ていたレベルの高いレース出身馬は3頭でいずれも人気薄で、「レベルの高いレース」出身馬の威力を知っていて、軸選びさえ間違えなければ意外に簡単に取れたかもしれない。
故障や休養入りにも注意!
先月、先々月号で掲載したレースの結果を簡単に調べてみました。全レース中での該当馬は116頭いまいた。そのうち勝ちあがった馬が41頭。116頭の中でも出走していない馬が16頭居ますから4割の馬が勝ちあがった計算です。複勝圏内に入った馬は66頭でした。単純に、前走で3着になった馬の単勝を買い続けていてもこの程度の数字なら残せるでしょうが配当的妙味は低く回収率では確実にマイナスになってくるでしょう。また5着馬を追いかけたとすればこれだけの確率で勝ち上がる可能性は低いでしょう。この数字が多いか少ないかは個人の判断に委ねるしかありませんが、配当的見地から考えると確実に儲けられる可能性を残す数字では無いかと思いますわ。
その他にレベルの高いレースに面白い傾向があったので書いておきます。これはレースを見ていなくてもレベルの高いレースを発掘できる可能性があるし、今後の対策としてもそこそこ役にたつものやし頭の片隅にでも置いておくとええと思います。
まず気が付いたのはやけに競争中止の馬が目立つんでね。直接的な因果関係は解りませんが、厳しかったレースと言うのが大前提やから納得できる部分が多いですわ。結局それに耐え切れなかった馬の故障が普通のレースより目立って多いんでしょうね。
その事に関連する事ですが、レース後に休養に入ってしまう馬が多い事にも驚きましたわ。これはレース中に故障したとかではなく、もともと弱い所や痛い所を持っていた馬だと思います。厳しかったレース後に疲労が抜け切れないんでしょうね。それならばこの事を逆手にとって考えれば、連闘や中1週で強硬姿勢で使ってきた馬と言うのは絶対的に狙いたいですわ。そう言う馬は基礎体力がしっかりしている事の証やと思いますから経験がすぐに活きて来る可能性が高いということです。
この原稿を書いているのは発売の1ヶ月前ですけど時期的にレベルの高いレースも比較的少なくなって来ます。冒頭の部分で「時期的な事も手伝い」と書きましたけどその意味をすでに理解している人もいてはるんちゃうかと思います。特集を組んで頂いた当初のレベルの高いレースには未勝利や新馬戦が多かったですよね。こんなんは常識ですけどあの時期の未勝利戦ではオープン馬と未勝利馬が混ざって走りますから、あの時点で能力の高い馬に揉まれた経験と言うのが後々プラスに働くから激走馬も多かったわけです。逆に言うとあの時点で経験しているにも関わらずプラスに働くから激走馬も多かったわけです。逆に言うとあの時点で経験しているにも関わらずプラスに働かない馬は、いくらレベルの高いレースに混ざっていてもこの先期待しない方がいいですわ。そんな売れ残った馬の背比べ的なレースが多くなるんで、何走もしてやっとこさ勝ち上がった馬が即上のクラスで通用するかどうかといえばかなり疑問です。まぁこれは未勝利戦での話ですけどね。
そしてもう1点、この号が発売される頃にはサマー競馬の声も聞こえてきますがレベルの高いレース出走後3走以内ぐらいでクラス編成で降級した馬は黙って買いですわ。上のクラスのレベルの高い所で揉まれた馬なら例え大敗していても下級条件なら激走するパターンが十分考えられるますから。ここまで頑張っても儲からん人はカフェイン入りのニンジンでもせっせと送っちゃってくださいな(笑)。
5月9日京都4Rには「レベルの高いレース」出身馬が2頭出ていた。うち1頭の10番人気⑦マンジェットが2着に来て馬連15990円の波乱。この馬は5月号掲載の「レベルの高いレース」3月6日阪神7R(勝馬ログキャビン)の出身馬だった。
不良馬場のレースの評価
3回中山や2回東京の初日には超不良馬場に日が目立ちましたよね。こんな日のレースはタイムや着順には特に注意が必要ですわ。ダートなら逃げ馬が大差で勝ったり追い込み馬が強烈に差してきたりしますけどそんなもんを鵜呑みにしてたら後々えらい目に会いますわ。芝の場合は極端にタイムが遅くなるけど重要なのは馬群と位置取り。展開にもよりますけど少しでもいいポジションに付けたいという気持ちが先立って想像以上に激しい流れになったりしますから、馬場状態だけでなくその事が原因で極端にタイムが遅かったりします。着順と能力はあきらかに違うことが多いので、しっかりレースを見てチェックする事が大切です。レベルの高いレースとは違いますけど今後激走する馬が多いのも不良馬場の日に多い傾向です。スピード指数系の予想をしている方なら着差がそのまま能力差となって計算されますから後でアホ見ますで・・・。
ただ、芝の不良馬場と言うのは想像以上に反動が大きく疲れも抜けにくいので直ぐに使える元気な馬と言うのはその時全然レースをしていなかったと考える事が出来ます。逆に好走した馬や厳しい展開だった馬がじっくり間隔を取って出てきた時に狙っていく方がいいと思います。
この時期の「レベルの高いレース」出身馬の狙い方
5月号の中で3月6日勝ち馬ログキャビンのレースを指定しましたが、一向に連対馬が出てきてくれへんので間違ってしまったかぁ~と考えながら集計してたんですけど、やっとあのレースで7着やったマンシェットが凡走後の2走目で2着入戦、馬連15990円を運んでくれたんで少し安心しましたわ。
そこで思ったんですけど、このレースはこれから馬券になってくる馬の方が多いかもしれません。またシャンハイエース(2・28阪神8R・5月号で掲載)のレースも名前を挙げた馬の半数程がその後出走してきませんからこういうレースの場合も中途半端に出てくる馬より直ぐに使えた馬がじっくり立て直して来た馬の方が先々期待が持てますわ。極端に言うと半年ほどじっくり立て直して出走してきたらその時はぜひ狙ってみて下さい。
多くの場合は雑誌が出る頃には馬券になってるレースが多いのでこういうレースが有ると読書の方でもまだまだ楽しめますね。そこですでに馬券になっている馬が多いレースでもこの先の狙い方としては、あるレース出身馬が集まった場合、じっくり間隔を取ってきたまだ馬券になって無い馬から狙ってみてはいかがでしょうか?それでも勝てない人はいよいよカフェイン大作戦ですわ・・・うそでっせ(笑)。ではまた次号で。
初めて読む方に
●木下健のプロフィール
3年前、それまで経営していた電気工事関係の会社をたたみ馬券生活者となる。理由は、勤めたままでは、競馬の研究をする時間がないから。以後、研究と実践に没頭し、2年半で彼が叩き出した馬券収入は約2000万円、年収に直すと約800万円。今年は5月時点ですでに250万を計上。大阪の郊外のマンションに住み、文字通り馬券で妻一人、娘一人を養っている。妻はよき理解者でもある。
●木下の方法とは
誤解を恐れず要約すれば、スピード指数を驚異的なレースの観察力で補う方法。いわば、デジタル(指数)とアナログ(レース観察)の融合。この方法で、従来の指数ではフォローできなかった部分の数値化に成功し、これまでにない厳密な能力の評価を実現した。(詳細は1~6月号バックナンバー参照)
●「レベルの高いレース」とは
日々馬券生活の中で、レースの中でもとりわけ馬の消耗度が激しい、厳しいレースがあり、そのレースを経た馬が後日連対馬を量産することを発見。木下はこの理由を”ストレス”や”流れ”という言葉で考えているが、本当のところは自身にも定かでない。ともあれ、この考え方を取り入れることによって大きな成果を挙げている。またこれは指数では表せないものだが、木下自身実際の馬券購入の際は苦心して出した指数よりもこちらを優先することさえある。
●「レベルの高いレース」の使い方
「レベルの高いレース」で”負けた馬”を狙うのが基本。特に着順の悪かった馬はあまり人気にならないので配当的に妙味がある。連載中もこのレースの出身馬が多数万馬券を出しているのは周知の事実。すぐに穴をあけるところもあれば、2~3走してから走り出す場合もあるので、臨機応変に対応したい。とりあえず馬柱に表①の「レベルの高いレース」があれば、赤ペンでチェックするところから始めてみては。