2004年12月号

木下には拷問?編集部が木下に【ムリヤリG1予想】してもらいました~!

木下にムリヤリ「秋の有力馬分析」!

 GⅠシリーズも中間地点を通過。まあGⅠだからといって配当が変わるワケではないのに、なぜか買う額も増え、情報もたくさん欲しくなるから不思議・・・・・・。

 となればやはり、秋の有力馬が木下にはどう見えているのか気になるところ(とくに編集部担当が)。

 だが周知のとおり木下は、GⅠだからといってとく興味はないし、ゼニになりそうでなければ、オープン馬の名前さえあやしい御仁だ。

 ということで春に続いて今回も、ムリヤリ木下にレースビデオを見させて、読者の知りたい情報(本当は編集部の担当が)知りたい情報を絞り取ろうというこの企画。当人には毎度申し訳ないが、今回も頼っちゃいま~す!(取材・10月18日、25日)。

3歳牡馬「菊当日は先行有利の馬場でした・・・・」

 本誌では毎年春先に「恒例 木下の“ゼニになる3歳馬”」という企画をやっていて、クラシック直前の3歳馬で文字通り“ゼニになりそうな馬”を先取りしている(今年は4月号)。なので3歳馬の話は、ここから入るのが手っ取り早い。まずはもちろん、キングカメハメハからスタートのはずだっが。

 「い、引退ですか・・・・・・? レベルの高い3歳勢のなかでも頭ひとつ抜けていたのに・・・・・・」

 ダービー前にも「抜けた存在」といっていた、その評価はこの秋も変わらないはずだったが、残念なことになってしまった。ならば同じく高い評価をしていたコスモバルクに期待が集まる。

 「能力的だけならキングカメハメハに近いと思てます。今年の3歳はレベル高いですけど、その第一勢力がこの2頭。でもキングカメハメハと違って、地方所属でいろいろハンデがるあるのと、気性の問題のせいで、カメハメハほどの成績にはならんのとちゃいますかね」

 といっていたのは菊花賞前。やはり本番は案の定、4着に終わった。

 「あの4着は大健闘といってあげたいです わ。スタート直後は抑えられたけど、1週目の3~4コーナーで一気に行って先頭に立ったでしょう。普通ああなると、後にペースを落とせたとしても直線パッタリ止まってしまうんですわ。しかしコスモバルクは、直線でぶつかったにも かかわらず、3着争いに加わるまで踏ん張った。やはり能力は断然ですよ。でも、この先どうするのかな。気性的に距離が長いのは難しい。じゃあ、この馬の適性距離はどこかといわれると、これまた難しいんだけど。マイルというほどのスピードもないし、1800メートルくらいがいい ?どこが楽しみといったら、来年の宝塚記念まで待つしかないか」

 キングカメハメハの引退後、現在の競馬界を背負うのはコスモバルクという噂もあるが、やはり気性や状況の問題が今後もまとわりつくというのが木下の見方だ。

 後回しになったが、ここで菊花賞を振り返りながら、3歳牡馬勢を見ていこう。

 結果は伏兵デルタブルースが勝ったわけだが、果たして木下はこの馬の激走を読んでいたのだろうか。

 「いやあ、まったくノーマークですわ。今秋の京都の馬場はずっと差し馬有利の馬場やったんです。それは菊花賞の前日までそうだったんですが、突然菊花賞当日は先行馬有利の馬場になったんですわ。 実はね、JRAは外厩制度を使うコスモバルクに勝たせたくないから、京都の馬場を差し有利にしていると思ってたんですよ。でも人気はあるから広告塔としてはエエので、セントライト記念を高速馬場にしてレコード決着で盛り上げようとしているのではないかと。だから、あの時計なんて何の価値もないですからね。そして次は差し有利の馬場で、コスモバルク不利にする。思い出してください。京都大賞典のナリタセンチュリー、デイリー杯2歳Sのペールギュント、秋華賞のスイープトウショウと、勝った馬が全て差し・追い込み型でしょう。それが菊花賞は突然の先行有利に。キングカメハメハの故障で事情が変わったんでしょうか。とにかくデルタブルースは馬場に恵まれたのと、ステイヤーの資質があったということでしょう。昨年のザッツザプレンティに似たタイプといっていい。もう少し瞬発力がつけば、さらなる活躍もあるでしょうが」

 波乱の立役者は勝馬だけではない。人気で敗れたサンデーサイレンス産駒軍団の評価はいったいどうなる。

 「キングカメハメハ、コスモバルクが3歳の第一勢力なら、第二勢力になるのがハーツクライ。去年やったらダービーを獲れたくらいの馬ですわ。今年のダービーはサンデーサイレンス産駒のキレるタイプがいいと見ていたので、この馬の2着はバッチリでしたわ。でも勝ったキングカメハメハとの差は1馬身二分の一という数字以上の差があると思いました。じゃあ菊花賞はとなったら、先にいったように先行有利の馬場になり、ハーツクライには苦しい。決して能力負けではないけど、不利な馬場を覆して勝つまでの力はまだありません。今後? JCなら広いコース向きだからいいし、古馬が弱いからチャンスかもしれない。とにかく今年の3歳はレベルが高いというか、古馬、とくに4歳馬が弱すぎる。今年は有馬記念もJCも、どんどん3歳馬は出たほうがエエですわ。年度代表馬を狙えるチャンスやから。まあトップが不在だから古馬もまだ頑張れるだろうけど」

 ハイアーゲーム、スズカマンボについても聞いた。

 「スズカマンボは朝日CCの内容もよかったし、菊花賞の最有力候補とみてましたが、ちょっと仕掛けが遅かった。前走の武豊の乗り方なら、まだ違ったかも。ハイアーゲームの惨敗は、あんなもんだったのかな」

 その他で気になった馬はいるのだろうか。

 「ホオキパウェーヴはよく後方から2着まできたと思う。これは楽しみ。3着のオペラシチーは、キャリアの浅いうちに古馬相手に連勝は価値がある。朝日CCだけ崩れたように見えるけど着順ほど負けてへんし、夏の疲れもあったでしょう。まだ陣営もどういうレースの進め方をすればいいか掴みきれていないみたいだし、それが確立したら、さらなる活躍が期待できますわ。あと、ケイアイガードもなかなかエエんとちゃいますか。勝ちたいときにキッチリ勝ち切るというタイプ。あまり距離はもたないタイプだから菊花賞は仕方ない。マイルCSとかならおもしろいかも。今後注目ですわ」

 このあたりは菊花賞を通った馬ということで聞いたが、他の路線で注目の3歳馬はいるのだろうか。

 「これも3歳の第二勢力になる皐月賞馬のダイワメジャー。オールカマーで惨敗を喫したけど、これは度外視していい。天皇賞後はどこにいくんですか? マイルCSならおもしろそうですけど」

 マイルCSの名が出たところで、木下が「ゼニ馬」時点で上位にいたメイショウボーラーはどうなのだろう。

 「あれは当時、短距離ということで評価した馬ですから、皐月賞の3着は驚きましたわ。でも、あまり2000メートルとか使いすぎるのはどうなんですかね・・・・・・。NHKマイルCはまだエエとしても、安田記念まで走ってたら、体もたんのとちゃいますかね・・・・・・」

 同様の意味で、シーキングザダイヤは「能力はあるけど、夏の外国遠征の影響が気になる」とも。他にこれからの注目として、岡田軍団のヴリル、マイル路線でマイネルゼスト、1400あたりでタマモホットプレイ、その他短距離でナカヤマバスター、ナムラビッグタイム、フサイチホクトセイらが挙がった。

牝馬路線「ファインモーションが抜けてますかね?」

 続いては3歳牝馬。秋華賞の感想も含め進めていきたい。もちろんダンスインザムードから話は入る。

 「相変わらず気性からガーッといってしまう。しかも先行不利の馬場では、あの敗戦も仕方ないかも。能力的な部分で負けたわけではないと思いますわ~」

 この秋華賞の1、2着スイープトウショウとヤマニンシュクルは、木下の「ゼニ馬」の指数1、2位の決着である。

 「スイープトウショウに対しては、デビューした頃から、ひとつ抜けているかなと思ってましたわ。さすがに距離がつらいと思ったオークスの2着は驚きましたけど。それにしても、これだけの馬を解散が決まってる厩舎に入れたのは何でなんですか? 騎手も角田のほうがエエのに・・・・・・。移籍がなかったら、もっと活躍 してたんちゃいます?」

 これは春に聞いたときにもいっていた。よほど腹に据えかねているのだろうか?

 「ヤマニンシュクルも惜しいレースばっかやから、一度ヤネ(騎手)変えたらどうやろう。手を変えれば、なんかええ流れになるかも・・・・・・」

 他にここに出ていた馬で、気になる馬も挙げてもらおう。

 「アズマサンダースはちょっと成長力が少ないみたい。まあ前(先行馬)がきついレースだからというのもありますけど。驚いたんはウイングレット。今回の秋華賞は5着まで春の“ゼニ馬”が占めてくれたんですけど、この馬は短距離で入れてたんで。でもまだ伸びそうやね。それからヒカルドウキセイ。後方で詰まってレースをしてなかったけど、スイープ同様スムーズに外に出せたらおもしろかった。これからよく見たい馬かも」

 せっかく牝馬の話をしたから、古馬にも触れて、エリザベス女王杯を。

 「ファインモーションが頭ひとつ抜けてるんでは。札幌記念も強かったし、負けた函館記念も内容は悪くない。でも3歳秋の頃の勢いはないですね~。まあ元々牡馬相手には弱かったけど、エリザベス女王杯で圧勝したからって、さすがに有馬記念は狙いすぎでは?」

 牡馬混合戦はともかく、牝馬同士ならファインモーションがリード。さて昨年ライバル関係を築いたあの2頭はどうか。

 「スティルインラヴは、昨年の牝馬戦線が弱すぎたから獲れた3冠。今の苦戦を不調という人もいるみたいですけど、もともと能力的にこんなやと思ってます。アドマイヤグルーヴも同様。京都大賞典が2番人気になってましたけど、、4着が妥当」
 となると、牡馬同様3歳馬が狙いになるのか。

「牝馬戦線は、牡馬ほど3歳と古馬との差はないみたい。だからファインモーションの相手は難しいですね~。やはりスイープトウショウ、アドマイヤグルーヴ? あんまりパッとしませんね」

 どうも食指が動かないよう。次へ行こう。

古馬陣「3歳馬とくらべると、はっきりいうて」

 「古馬ですか。ゼンノロブロイ中心で話が進んでいますが、4歳世代はあまりに弱い。この馬もJC→有馬記念と善戦はするかもしれないが、勝つのはよほどうまく立ち回った場合のみ。これはリンカーンやザッツザプレンティも同じ。馬場や展開、調子で着順はコロコロ変わるのが古馬の現状です」
 あらあら、3歳馬に比べて行数が少ない。ならばタップダンスシチーでどうだ?

 「だいたいこの馬がトップにいるっちゅう時点で、古馬の薄さがわかるんちゃいますかね? 一番弱いエアシャカール世代の残党ですやん?」

 さすがに古馬はきびしそう。京都大賞典のナリタセンチュリーも差し有利の馬場に助けられたものだし、もう何もいない?

 「宝塚記念2着のシルクフェイマスは、まだまともに見えますわ。成長自体は(にこちゃん)指数を見ても、日経新春杯で止まっているんですが、今の古馬ならこれで十分。見所があるのはこれくらいかな・・・・・・」
 なんとか1頭。そう、ヒシミラクルが復帰するらしいんで、これは?

 「それそれ! もとの状態に戻れば、この馬だけはエエですよ。地味でスター性もまったくないでけど、この馬は評価していい。あとはホント脚元だけ」

 ちょっと予想しない馬の評価が高くてびっくり。ともあれ、JC→有馬記念の王道を進む古馬が弱いから、マイル路線に眼を。

 「マイルなら、古馬が3歳勢よりもリードしてるんちゃいますか。毎日王冠のテレグノシスが能力的には最右翼ですけど、この馬は本番で人気になって負け、人気が落ちたらまた復活して勝つタイプ。今年は好走してるから大丈夫かもしれんけど、全幅の信頼までは・・・・・・? それからローエングリン。この馬は、もっと走っていいと思てましたけど、ガンガン行く馬にしてダメにしてしまった。武豊や福永の関西系騎手が乗っていた頃のほうがよかったです。まあマイルから1800ならいいかな。あと、出てきたらおもしろいのがサクラプレジデント。弱い4歳世代では、まあエエ部類ちゃいますかね。乗り方次第で皐月賞あたりは獲れたはず。つつまれるとアカンから、引っ掛かるのが不安でも外枠のほうがいい。安田記念を勝ったツルマルボーイ? あれ何で勝てたんやろ? まったく何にも感じてまへん」

 これに3歳馬を加えたらどうなるか。

 「サクラプレジデント、ダイワメジャー。まあここらへんは出てくるかな。あとは不安でもテレグノシスでしょうか?」

ダート路線「パーソナルラッシュが出てくればおもしろいのに」

 最後にダート路線を語ってもらおう。まずはアドマイヤドン。

 「全盛期は過ぎたけど、まだまだ力はあると思ってます。ただ、スッと抜け出したときは強いけど、南部杯のみたいに前の馬に並びかけるのが遅くなると苦戦するかも。ユートピアは砂の適性と、流れが向いて勝った感じ。府中のJCダートはきついんでは?」
 昨秋から春にかけて、アドマイヤドンのライバル的存在になったサイレントディールは?

 「武蔵野Sを勝ったときのレースは強かったけど、うーん、第二勢力かな。それよりエルムSの1、2着。勝ったパーソナルラッシュは、かなり強いですわ。また2着のウインデュエルも夏の連戦の疲れや、斤量差で負けましたが、内容は濃いです」
 じゃあ、JCダートのまとめ。

 「外国馬はわかりませんから、それは触れずに日本馬だけということで。アドマイヤドンとウインデュエルで。アメリカに遠征するからわからないけど、出てきたらパーソナルラッシュが続くのでは?」
 最後に木下からみなさんに一言。

 「私は普通のファンほど、ビッグレースは懸命に見てないんで、あくまで参考程度ということで、鵜呑みにせんといてください。よく見たら、あとで気づいたこととか結構ありますんで・・・・・・(汗)。いやこ のページ、ほとんど担当さんの誘導尋問ですねん・・・・・・!?。とはいえ、競馬は最後は“カン”でっせ~!」

 さらに原稿担当筆者から一言。

 「馬券は自己責任でお買いください」つーことで年末までのGⅠ、がんばりませう~~!!!!