最強の法則2000年10月号

 今回は1コーナーの進入から向こう正面にかけてのレースの見かたを説明していきたいと思いますねん。

なぜ1コーナーなのかとゆうのは、多くの人が理解しているようで案外見落としている部分やからです。

一般的に多くの人は3~4コーナーから直線に かけては直接馬券に繋がる部分なんで よく見ていますが、スタートから1コーナーの進入、2コーナーから向こう正面にかけてをそれほど真剣に見ている人は少ないと思います。

そこへアナログ補正的な話も絡めてしていこうと思いますねん。1コーナーの進入を予想することで馬券検討の幅が大きく広がるはずですからね。

外枠先行馬は不利なレースを強いられる

  今回写真を使って説明するレースは7月30日函館12R・湯浜特別・芝1800M・14頭立てです。このレースの場合出走メンバーの約9割が先行脚質の馬という事で1コーナーの進入が馬券検討の大きなポイントとなりました。このレース、結果は⑩番=②番=⑥番の順に入線し万馬券となりました。私は⑩番が58Kを背負って押し切れるはずが無いと読んだので悔しくも馬連は外しましたが、僅かながら②=⑥のワイドだけをいただきました(^^)。では、一連の流れとして写真(①~③)をご覧ください。

 スタート後の直線は中距離では大変珍しい展開で、1コーナーの直前まで逃げた①番の直後になんと7頭が横並びです。その1馬身後方にまた4頭が横並びで続くという短距離戦のスタート直後のような状況でした。(写真①)

〈写真①〉スタート!逃げた①の直後に何と7頭が・・

 一般的に考えますと1コーナーの進入では外枠の馬ほどコースロスが発生します。まぁこんなもんアホでも判りますわな。ただし進入角度が緩くなる分、外枠の方がスピードロスが少なくて済むと言う場合も有りますがね。しかし今回のような場合、明らかに外枠の先行馬の方がよりキツイ展開を強いられるのは明白ですわな。

 あくまで今回の場合と言う事で話を進めて行きますが、これらの馬達がコースロスを最小に抑える為には少しでも内の馬よりも速度を上げて前に出る必要があります。しかし今度はコースロスの替わりにスピード的な消耗が付きまといます。今回では1コーナーを周りかけた所で逃げた①番に並んで行った大外の⑭番は内で競り合う6頭を振り切っての強引な積極策ですから序盤にかなりのスピード的ロス(消耗)を強いられた勘定になります。(写真②)

〈写真②〉  大外から①に並びかけた⑭が強いられるスタミナ消耗

 前後しましたが、それと共に1コーナーの進入で外を周らされた各馬にも大きなコースロスが発生しています。(写真③)

〈写真③〉1角進入で外を回された馬達にコースロスが生じる

 さて、僅かレース全体の1/3にも満たないこの時点までの展開を読めた人間には14頭立てのレースももっと頭数の少ないレースに思えてしまうわけで、難解なレースも簡単なレースに変化する可能性が出て来ます。どうしてかと言うと当然ロスの多い馬ほど買う価値が薄いと思えるわけで、事前にそんな馬を読めれば、当然普段よりも予想が簡単になってくる可能性が高まるわけです。

 話を進めますがこの後①番と⑭番が競り合ったまま後続を離しに掛ります。(写真④)

〈写真④〉競り合う①、⑭両馬は後続馬に差されるが・・

しかし当然無理が たたって後続に詰め寄られたわけですが、⑭番は結果的に勝馬から0.6秒差の4着に粘っていました。 

4着馬がタイム補正で高指数獲得

  それでは補正の話に入って行きますが、ココまでを整理して考えてみますと補正ポイントは3点。

まず⑭番は1コーナーのスピード的消耗と向こう正面に入ってからの無理を補正してやる必要がでてくると推測できます。また、外枠から先手を奪いに行った各馬にも若干のコースロスを補正してやるのが妥当だと推測できます。そして勝ち馬⑩番もまた、58Kを背負いながら5番手追走から早めの競馬。勝負処では後続を突き放す瞬発力の違いを見せて、最後は追わず自然に着差が詰まった点からも補正が必要と感じました。

 さて、補正の基準となる馬が必要となってくる訳ですが今回は2,3着の馬が妥当だと感じました。後方から着を拾った形に見える馬達ですが特にマイナスとなる要点は見当たりませんでしたんで、そのまま評価する事とし、そのタイムを基準として各馬に補正を施す事としましてん。(表①)

 私は補正したタイムを指数に変換して表すんですわ、これが俗に言うアナログとデジタルの融合と言うヤツですね。

で、個人的に勝馬ニシノビートは900万でなんとかやれる程度の指数(もちろんメンバー次第では勝ち負けも可能ですが・・・)に設定しました。次に評価が高かったキタサンアルダーンは500万で近いうちに勝ち負け出来る指数に評価。2,3着馬の評価は500万に若干足りない程度の指数と設定しました。

 また各馬に施す補正タイムですがこれは個人が思ったままの印象で調整すればエエと思いますわ。と言うのも補正をする行為自体、正解なのか余計な事なのか誰にもワカラン事ですし、どのように結果が出ようともレースをジックリ見て分析する事で自然とレースを見る目が養えてくるわけですわ。私は補正をする事よりもレースを見る目を養える恩恵の方が大きいと考えていますねん。

健闘した4着馬を次に狙えるレースは・・・

   さて今回の⑭番キタサンアルダーンや外枠でロスを被った馬の狙い時ですが、せっかく補正したんですけど、出てきたら何が何でも狙ろたんねん!!では全然意味がない事ですねん。特に⑭番の様にどんなメンバー、どんな枠順でも行くだけ行くねん!!とゆう馬の場合はなるべく内枠寄りで、しかもメンバー的に無理せずハナを切れるような場合に補正タイムが有効に働いて来るのは言うまでもない事ですからね。そうゆう時を見計らって一発狙うのが好ましいですね。

 後は突然、一気の距離短縮を図ってきての人気薄も狙ってみる価値は十分かと思います。特にダートの場合はこう言う馬が距離短縮で粘りきって穴を開けたりする場合が多いんですわ。ただ、その場合はなるべくローカルの1000Mなんかで狙う方がエエですね。と言うのも中央で短距離に出走してくる馬はスタートダッシュのスピードが異常に速い馬が多いですから、ゲートが開いて後方と言うパターンの方が多い様に思いますねん。

 そして今回2,3着に追い込んだ馬達の場合なんかは逆に考えて簡単に前が止まるような展開で無いのに前走の着順から人気を被りすぎているようだと思い切ってぶった切ってしまうのがオモロイんじゃないかと思いますわ。

 今回例に挙げたようなことはスタートから1コーナーが近い短距離でも特に多く起こっていると思います。短距離の場合1コーナーの映像と言う物が手に入りませんので正味の所はハッキリしませんが、必ずこう言う状況が起きているんではないかと思います。特に東京競馬場のダート1200Mや1400Mでは良くある事だと感じますよ。

 さて、次回は勝負処から直線入り口にかけてのコースロスを取り上げて説明してみたいと思います。ただ、普通に3~4角で膨れるコースロスではオモロ無いんで馬場状態を見極めてのコースロスと言う感じでやってみたいと思てますんやわ。
 

復活!木下健の重賞回顧

北九州記念&小倉記念の正体を暴く! 

 過去に何回かやってましてんけど結構好評やったと言う事で、重賞レース回顧をまた始めようじゃないかと言う事になりましたんやわ。

 第1回目は出走メンバーが似ているという事で北九州記念(GⅢ・7月16日)と小倉記念(G3・8月13日)を取り上げてみたいと思います。

 この2つの重賞は距離にして僅か1Fの違いです。そしてレースを作る馬も想像通りアンブラスモアでありました。しかしながら全く違った要素を持ったレースになったと見てます。両レースでの回顧ポイントは間違いなく先行勢と追い込み勢やと思いますわ。

 北九州記念の場合、真っ先に先行馬が多いことに目が行きましたわ。普通これだけ先行馬が揃えば流れが速くなって3コーナーの入り口で垂れだす馬が何頭か見られるもんです。が、このレースは意外にも勝負処の3コーナー過ぎまで淡々と流れ、そこから一気にスピードに乗せ一団となった先行馬が差し馬のように前の馬の外々を交わしに行く珍しい展開となりました。

 こう言う展開の場合、MAXに近いスピードでコーナーを回る事に成るんですから先団各馬は外に膨れ気味になるのが当たりまえです。特に小回りコースやねんからね。この傾向は京都2000Mや中山1800Mでもたまに見られますよ。その結果、中団の内々で前を見据えていたトゥナンテと後方最内で外に出すタイミングを計っていたロサードがぽっかり開いた内をそのまま突き抜けた結果となりました。この2頭の騎手も内が開く事を承知で狙っていた様に見えました。

 一方、小倉記念はラップタイムにも現れていますが、前半5Fの通過タイムは58.8秒で距離の短い北九州記念よりも0.3秒速く、それも手伝ってか3コーナー手前ではすでにバテ始める馬が何頭も見られました。バテ始める馬が多かった原因は他にもあります。北九州記念に比べると比較的メンバーも薄く、先行馬ので中でこのペースに付いて行ける馬が少なかった事と言う事でしょう。ここまでバテる馬が多いと後方から脚を伸ばす段取りの馬は少しアテが外れます。内ラチ沿いをズルズルと垂れた馬の塊が下がってくるわけですから、馬群の外へ出して先団に迫るしか手が無いわけですが先に進出した馬が外を周っている分、それより外の大外へ進路を取るしかなく予定していたよりコースロスが激しくなりますわ。簡単に言えば後方にいればいるほど大外しか進路が無いわけですな。その結果、最後方をジックリと追走していたロサードは馬群の大外から追い込んで首差届かずの3着と言う結果となりました。まぁこの姿が本来のこの馬の姿で北九州記念が特殊な展開とも言えるんですがね・・・(^^;。

 それにしても勝ったミッキーダンスの鞍上、佐藤哲騎手は早めの進出で垂れた馬群のすぐ横をやり過ごす実に見事な判断だったと思います。いつもそれが出来ずに直線後方一気の競馬の多い彼がいとも簡単にそれをしてしまった事の方がビックリでしたけどね(^^;。

 また早めの進出にも最後まで脚色が鈍らなかったのは53Kと言うハンデも幸いしていると思います。

 最後に感想をもう一つ。ハンデ戦の重賞って一体どんな意味があるんでっか?海外ではハンデ戦のG1が有るのに驚きますがG1や重賞ってのは強い馬を決める一戦ちゃうんかなぁ?ってことです。わざわざハンデを設けて実際よりも弱い馬にチャンスを与えるG1や重賞って一体何の意味が有るんでしょうか?

 53Kの馬が58Kの馬を1馬身3/4退け初重賞制覇、成長著しい!!と騒がれた所でなんかピンと来んのは私だけでしょうか(^^;。