最強の法則2001年9月号

だから!関東のマスコミは関西を把握してない

 サマーシリーズ真っ只中、新装となった新潟競馬が開幕しました。

 日本初の直線1000M戦や659Mと日本一長い直線コースが話題となっていますが、フタを開けてみればそれだけではなく、走破タイムの速いこと、速いこと(@@;。。。驚きを通り越して呆れてしまうくらいです。

 初日に出た外回り2000Mは1分56秒4というとんでもない時計。8頭立てと普通ならスロー必至のレースですが、行ったままで決着してもこの時計です。スタート後の直線が900M弱と非常に長く、スピードにのってコーナーを周るだけのコース。翌日の1000万クラスの直線1000M戦でも54秒2という世界レコード。コーナーが少なく直線部分が多いとこれだけの時計が出るものなんだと教えられました。

 アメリカ競馬ではダートの2000M戦で2分を切る馬が当たり前のようにいます。日本馬では、まず出ない時計で、馬のレベルが全然違うと言われ続けていますが、アレってたぶん嘘ですね。

 コースが替われば時計も違ってくるわけで、単順にタイムだけで競馬は判断できないものだと確信しました。外国馬と日本馬を比べて卑屈になる必要なんて全く無いと思いますよ。

 さて、今回の話題を探していたところ、騎手について少し書いて欲しいと担当に言われました。そういえばこれまで、騎手について触れたことはほとんどありませんでしたね。

 どうして書かなかったかと言えば簡単。予想をする際に、いつもそれほど重要視ていないからなんです。まったく度外視してるわけでもないので、今回は少し騎手の話をしてみたいと思います。

 まず、最近の騎手の話題といえばケント・デザーモに尽きるでしょう。外国人騎手初のクラシック制覇等、インパクトも強烈で話題のほとんどをかっさらって行きました。誰が見ても判るように、一般的な日本人騎手とは全くといっていいほど手腕に差がありますね。

 ただ、右を向いても左を向いてもデザーモ!デザーモ!というほど、そこまで鮮烈な印象を受けたのかなぁ?と疑問も感じます。特に関東のマスコミや関東の競馬ファンの驚きように。と同時に関東のマスコミ関係者は関西の競馬をまともに見てないんやなぁということも感じます。

 話は少しそれますが、関東のマスコミ関係者が関西のレースをきちんと見てないと思う根拠はダート戦に現れています。関東圏で行われる一連の2,3歳のダート500万、オープン戦では必ずと言って良いほど、関東馬が人気に推されます。しかしダート馬に限定して関東馬と関西馬を比較した場合、明らかに関西馬の方が層が厚く、全体のレベルが高い。これは連載でも何度か指摘しました。

 たとえば、福島競馬場で行われたしゃくなげステ(ダート1700m)。出走馬13頭中、関西馬は4頭。人気上位に推されたのは、いずれも関東馬でしたが、結果は関西馬が掲示板の1,2,3,5を独占しました。この傾向はここ何年も同じです。この例からも関東のマスコミは関西馬の状況を把握できてないことがわかります。

 話を戻すと、これと同じようなことが騎手についても言えるのです。確かにデザーモの騎乗は素晴らしく、世界でも数本の指に入るトップジョッキーである事は間違いのない事実です。しかし関東のマスコミやファンが絶賛するほど、デザーモだけが別次元の飛び抜けた騎乗をしているとは、関西のマスコミやもファンも感じていないはずです。

 実は関西圏は騎手に大変恵まれておりまして、安藤勝己、小牧太、吉田稔ら地方のトップジョッキーの素晴らしい騎乗が毎週確実に見られます。

 さらにオリビエ・ペリエ、ミルコ・デムーロといった世界でもトップクラスの騎手が短期参戦し、レベルの高い騎乗を目にする機会が多いのです。

 彼らが、どう素晴らしいかと いうと、手で馬を追うというより、膝で押すと いう感じでしょうか。驚くほど馬が動くんです。武豊のいない今、安藤J勝やデムーロが毎週騎乗すればどちらかがリーディングを獲る事は確実でしょう。デザーモにも同じ事が言えますが、少なくともデザーモだけが特別だと関西のファンは思ってないのではないでしょうか。ところで、これらの敏腕騎手と一般の中央の騎手との決定的な違いは二つあります。

 一つは、いかにしてレース中のロスを最小限に抑え、馬の力を最大限に引き出す騎乗をしているかという事。これは強引なまでに感じる内を空けない道中の位置取りを見れば簡単に判断できます。

 もう一つはその日の馬場状態をいち早く察知すること、そして、個々の馬の脚質に見合ったポジションを選んで競馬をさせる技術もしくは本能を持っているということです。誤解の無いよう書いておきますが、もちろん中央の騎手にもこのような技術を持った騎手は多少はいます。

 良く聞く言葉に「彼らは走らせ過ぎて馬を壊す」というのがあります。けれどもそれは出稼ぎ騎手である彼らがより多く稼ごうとした結果であり、私ら馬券を買う側の人間にとっては馬を壊そうが目一杯走らせてくれる騎手の方が断然に有難い。その言葉は馬主、調教師側の意見でどうでもいい話だったりします。

 最後になりましたが、私が馬券を買うとき騎手をどのように考慮するかと言えば+αに考えるくらいです。例えばAという逃げ馬が逃げてくれさえすればて絶対に勝てると予想し、しかもそれが福島競馬場でのレースだった場合。そのとき鞍上が仲舘であったりすると、予想に自信を深められるという感じでしょうか。逆に差し、追い込みを得意とする騎手が買いたいと思っていた馬でも見送ることはしばしばあります。また大西は、福島競馬場の馬場状態の変化を誰よりも早く察知できる騎手と見ていますので、騎乗馬のタイプによっては、その馬の信頼度が自分の中で非常に増してきます。

 先に挙げたような上手い騎手が騎乗しているから買う、といった単順な行為はまずしませんね。私が「差し」てしか連対しないと感じている日に、同じように馬場を読めている騎乗が、私が狙う差し馬に乗っていたり、前で競馬したら絶対に連は外せへんと思う馬に、強引でもその位置で競馬してくれる騎手が騎乗が跨ったら自信を深める。そういった感じで予想に活用させる程度にしております。