最強の法則2002年2月号

このポイントでわかる買える騎手、買えない騎手

 先日、WSJS(ワールド・スーパー・ジョッキーズ・シリーズ)が阪神競馬場で行われ、佐賀競馬所属の鮫島克也騎手が優勝しました。

 WSJSは例年、ウウッ・・と唸らされるような騎乗が目立ちます。多くの日本人騎手とは何が違うか?。

 一番の違いは馬の能力を十分に発揮させる技術を持ち、それを状況に応じて確実に駆使できることでしょうね。

 それには様々な要素があるので、順を追って振り返ります。

 最初に注目したいのは前半の位置取り。世界のトップジョッキーを総体的に見た場合、スタートして無理な力を馬に使わさず、スンナリと好位置をキープさせている事に目が行きます。

 ゲートが上手い。まずは好位を取る。そして馬に余計な力を使わせない。基本中の基本の事ですね。

 次に隊列、馬と馬の間隔が非常に狭い。横に広がらず、内ラチからなるべく離れないようにビッシリ周ってくる。

 つまり厳しい競馬で、コースロスを最小限にしているのです。特に大きく異なるのは3~4角。日本の競馬は3~4角で膨らむ競馬が目立ちます。

 ここでスピードに乗って差しに掛かった場合、どうしても大きなコースロスが発生します。加えて、コースロス以上にスピードロスも大きくなります。外国人騎手は膨らんだ際のロスを嫌う人が多い。

 早めにスピードに乗せて差しに行くことよりも、なるべくインをキープしたまま直線に向い、溜めておいた末脚を一気に爆発させることをゆうせんします。別の言い方をすれば、馬を一杯一杯まで溜めていられる技術を持っているということでしょう。スローが多い現在の日本競馬では、これは非常に重要なポイントです。例えばWSJSの最終戦、阪神12Rです。スローで流れたこのレースは、蛯名騎手と松永幹騎手が早仕掛け。3~4角ではスピードに乗って伸びているようにみえても、コース取りから生じたスピードロスは大きく、それ以上の伸びは見られずじまい。好位をキープして無駄な力を使わせなかった、中央以外の騎手の馬たちが上位入線を果たしました。このレースを勝ってシリーズ優勝を決めた鮫島騎手は、素晴らしい騎乗見せました。勝負どころを外で争う馬を尻目に、無駄な力を使わせず、直線最内をゴム毬が弾けるかの如く一瞬にして伸びてきました。

 ここで面白いのは、勝ち馬マルブツグローバルを私が算出している能力指数で現した場合、これでの能力と今回の能力に何ら変わりがないことです。すなわち、鮫島騎手が同馬の特別な力を引き出したという訳ではなく、同馬はいつもと同じだけの力を発揮しているのです。ではなぜ勝てたのかといと、それまでは全力を発揮していたのにもかかわらず、ロスが多くて勝てなかっただけとゆう単純な話なんですね。そういう馬が他にも一杯います。いえ、そういう馬だらけでしょうね。

 阪神ジュベナイルFで2着に来たファロン騎手もそうですが、外国人騎手や地方騎手には中央では見られない頭の高い追い方をする人が多い。ナゼ、頭が高くても馬が追えるのか?答えはすぐに見つかりました。ポイントは膝なんですね。ファロン騎手などは膝を開くことなく、鞍の上でピッタリとくっつけて、膝で馬を押しています。そうしないと動かない馬も多いのかもしれません。

 このように騎乗技術の高い外国人騎手や地方騎手にはドンドン中央に来て貰って素晴らしい騎乗を見せて欲しいと思います。

 最後に私が感じる馬券につながる騎手の印象を少しだけ書きます。先ほども名前を挙げた、松永幹騎手、この人は確かに上手い物も持ち合わせています。ただ彼自身でペースを握らなくてはいけない馬(逃げ馬に限らず)に騎乗したときは非常に買い辛い。しかし武豊などのレースのペースを握れる人の直後で進められるレースの場合はかなり心強い。言い換えれば自分ではペースを作れないがちゃんとしたペースメーカーがいるときは一気に信頼できる騎手になる傾向が大きいんです。

 マニアックなところで、平地では騎乗機会の少ない山本康志騎手。11月20日新潟3Rでレーシグスパークという未勝利馬を2着に持ってきました。この時の追い方が非常に力強く、てっきり地方騎手が騎乗しているものと思ったら彼でした。

 「こんな追い方が出来るのならもっと騎乗機会が増えても良いのに」と思って、私の出馬表の会員専用掲示板で”今後ダートで注目したい騎手”といった書き込みをしました。そしてしばらくすると中山の2歳新馬戦で単勝¥21630の大波乱を演出。もっとも発見者の私も、滅多に騎乗しない彼をチェックすることすら忘れておりまして、この恩恵に与る事は出来ませんでした(^^; 彼が騎乗してきたら少しだけ注目してみてください。他の騎手についてはまた別の機会という事で。