木下が語る「指数とは」

ここでは、木下健が自身で競走馬能力指数を作成するようになる経緯を語る。

単行本(馬券生活者木下健の競馬で妻子を養う男の馬券術)の中で詳しく触れたんでくり返しになりますけど、もう一回だけごく簡単に説明しときます。

とにかく、私の競馬の基礎となったのが西田式スピード指数であり、そしてアンドリューベイヤー理論に感銘を受けたからです。

何年も前の話になりますけど、競馬最強の法則で西田式スピード指数が公開されました。と同時にアンドリーベイヤー氏の理論を知りました。そして猪木に延髄切りを食らわされたような衝撃を受けました。その当時はソフトなどは無かったんで電卓を使い、手計算で毎週毎週、馬場指数を計算していたのが懐かしいです。その後色々改良され、スーパーパドックというソフトが発売されまして莫大な時間をかけての馬場指数計算作業から開放されました。

西田氏の理論は私自身が知る理論の中で、現在でも最も素晴らしい物の一つであると思います。その当時はスーパーパドック(スピード指数計算ソフト)で算出された上位何頭かのBOXで買っていても十分利益が出ました。的中率は現在とさほど変化は無いと思いますけど、頻繁に高配当が的中できたんで儲かりました。

それはやはり世間的にスピード指数というものがまだまだ認知されておらず、オッズに影響を与えるところまで達していなかったからで、のちに西田式スピード指数やTARGETなどのタイム系理論が世間的に受け入れられ、広まるにつれオッズの破壊が始まりました。

そしてついには予想紙等もタイム系理論での予想を取り入れるようになり、西田式やTARGET等での指数上位馬が人気の中心になることが至極普通の事になりました。そうなれば以前と同じ的中率ではなかなか勝てなくなりました。配当が安くなる分回収率が伴いません。もちろん、西田式スピード指数でもTARGETでも、その他タイム系理論でも指数上位通りに買っていれば勝てるという単純なものではありません。

指数というのは【その馬がおそらく持ち得るであろう力を数字に置き換えて表して居るだけの物であり、その馬が今回の条件下でどの程度までの、またはそれ以上の能力を発揮できるかを自分で推測して予想に反映させなければ意味の無いモノです。言わば自分なりの予想にプラスする一つのファクターにすぎませんそう言う意味では数ある理論と同じように調味料的存在で有るだけの事なのです。】と思います。

レース中には色々な要素があり、本来持っているであろう力が発揮できないまま終わる馬も多い筈です。その中にはレース中の不利や、展開面での不利、同じレース内でも内外で馬場状態の違いから出る影響、スローペース等の上がりだけの競馬、状態面の不備・・・etcなど、思いつくことは沢山有ります。タイム系理論全般の特徴として、入線タイムを基本として指数を算出しますので不利や展開等が、指数に反映されることは絶対にありません。それと同時に避ける事の出来ない問題点でもあります。

その問題点の大きさが気になるにしたがって、指数をあと1歩でも2歩でも現実的なものに近づけるために、単純に時計だけに頼らず、時計に現れないアナログ的要素を指数の中に取り込もうと考えました。それがタイム系理論でオッズ崩壊に歯止めを掛けれる唯一の方法やと考えたからです。

現在、指数の設定には思いつく限りのアナログ補正を施しています。馬場状態や不利、ペースの問題などその他、思いつく補正を1頭1頭行っています。

実際問題として、そこまで手間隙を掛けてますが、現実的な指数・実践的な指数に1歩か2歩でも近づけたのかは全く見当がつきません・・・おまけにオッズの崩壊に対応できたのかさえも分かりません。

ココまでして何に成るのか・・・?何度も莫大な作業を止めようと思った事も有ります。

しかし、この辛い作業をしていく中で、レースを見る目が少しだけ身に付き、レベルの高いレース等も僅かながら発見できるようになりました。これらは私の現在の馬券術の中で最も大きな財産だと思っています。そして何より色々な部分で自信が持てるようになりました。それが一番大きいのです。

そう言う意味では本来なら指数に頼る事よりも、自分の目でレースを見る事をお薦めします。